故人様の人柄を偲び、感動的なお別れを演出するメモリアルムービー。その作成を、ご遺族自身の手で行いたいと考える方も増えています。自分たちの手で作り上げることで、より心のこもった、オリジナリティあふれる映像にすることができます。まず、第一歩は「写真や動画の収集」です。古いアルバムを引っ張り出し、デジタルデータもかき集め、故人様の人生を物語る素材を集めます。幼少期から学生時代、結婚、子育て、晩年まで、時系列に沿ってバランス良く集めるのが基本です。ご遺族だけでは持っていない写真も多いはずですので、親戚や故人の親しい友人に声をかけ、思い出の写真を提供してもらうのも良いでしょう。この写真選びのプロセス自体が、故人を偲ぶ大切な時間となります。次に、「構成とシナリオ」を考えます。集めた写真をどのような順番で見せるか、BGMにはどんな曲を選ぶか、そして写真に添えるメッセージをどうするかを決めます。上映時間は、長すぎると間延びしてしまうため、五分から十分程度にまとめるのが理想的です。BGMは故人が好きだった曲や、歌詞が別れの場面にふさわしい穏やかな曲調のものを選びましょう。そして、いよいよ「映像編集」です。近年では、スマートフォンアプリや、パソコンの無料ソフトでも、比較的簡単にスライドショームービーが作成できます。しかし、ここでいくつか注意点があります。まず、「著作権」の問題です。市販のCDなど、著作権で保護されている楽曲をBGMとして無断で使用することは、法律で禁じられています。葬儀での私的な上映であっても、厳密には著作権侵害にあたる可能性があるため、著作権フリーの音源を使用するか、JASRACなどの著作権管理団体に使用許諾申請を行うのが正式な手続きです。また、完成した映像は、必ず斎場の大きなスクリーンで「事前の試写」を行わせてもらいましょう。自宅のパソコン画面で見ていた時と、大きなスクリーンで見た時とでは、写真の画質や文字の大きさ、音量のバランスなどが全く違って見えることがあります。葬儀本番で「写真がぼやけて見えない」といった失敗を避けるためにも、この事前確認は不可欠です。