葬儀の香典袋といえば、黒白や双銀の水引が結ばれているものが一般的です。しかし、文具店などに行くと、水引がついていない、非常にシンプルなデザインの不祝儀袋も売られています。また、キリスト教式や神式の葬儀では、水引のない袋が使われることもあります。このような、水引がない不祝儀袋は、どのような場合に、どのように使えば良いのでしょうか。まず、仏式の葬儀において、水引のない白無地の封筒が使われる場面があります。それは、僧侶にお渡しする「お布施」です。前述の通り、お布施は仏様への感謝の寄進であり、お悔やみ金である香典とは意味合いが異なります。そのため、不幸が繰り返されないように、という意味を持つ水引は、本来不要とされています。奉書紙で包むのが最も丁寧ですが、略式として、水引のない白無地の封筒に「御布施」と書いてお渡しするのは、全く問題ありません。では、一般の参列者が香典を包む際に、水引のない袋を使うのはどうでしょうか。これは、基本的には避けた方が無難と言えます。水引には、弔意を示すという重要な儀礼的な意味合いがあり、それがないと、どこか簡略化された、気持ちが十分に伝わらない印象を与えてしまう可能性があるからです。ただし、例外もあります。それは、故人の宗教が「キリスト教」や「神道」である場合です。キリスト教では、水引は仏教的な習慣と見なされるため、基本的には使用しません。十字架が描かれたものや、白無地の封筒に「御花料」と書いたものを用います。同様に、神道でも、水引は必須ではありません。白無地の封筒に「御玉串料」や「御榊料」と書いたものが使われます。また、ご遺族から「香典は固くご辞退申し上げます」と言われているにもかかわらず、どうしても気持ちとして何かお渡ししたい、という場合に、香典という形ではなく、「お見舞い」や「お線香代」といった名目で、水引のない白い封筒にお金を入れてお渡しする、というケースも考えられます。このように、水引のない不祝儀袋は、特定の宗教や、特別な状況下で使われるものです。仏式の一般的な葬儀に参列する際には、やはり、きちんと水引が結ばれた、伝統的な不祝儀袋を選ぶことが、故人とご遺族への、最も確実な敬意の表し方と言えるでしょう。
水引がない不祝儀袋は使っても良いか