家族葬・一般葬向け会場情報まとめ

知識
  • 袱紗(ふくさ)への正しい包み方と渡し方

    知識

    葬儀の受付で、バッグやスーツの内ポケットから、香典袋をそのまま取り出して渡している人を見かけることがあります。これは、実は大変なマナー違反です。香典は、必ず「袱紗(ふくさ)」と呼ばれる布に包んで持参し、受付で袱紗から取り出して渡すのが、正式で丁寧な作法です。この袱紗の正しい包み方と渡し方を身につけることは、大人の嗜みとして非常に重要です。袱紗とは、元々、貴重品などを包むために使われていた一枚の布で、現代では主に冠婚葬祭の際に金封を包むために用いられます。袱紗を使う目的は、二つあります。一つは、水引が崩れたり、袋が汚れたりするのを防ぐという実用的な目的。そしてもう一つが、相手に対する礼節と、金封に込められた気持ちを大切に扱っています、という敬意を示すための儀礼的な目的です。袱紗の色は、慶弔両用で使える「紫色」を一つ持っておくと、どんな場面でも対応できるため非常に便利です。弔事専用であれば、紺、深緑、グレーといった寒色系の色を選びます。では、弔事における正しい包み方です。まず、袱紗をひし形になるように広げ、その中央よりやや右寄りに、不祝儀袋を表書きが見えるように置きます。次に、①右、②下、③上、の順番で角を折りたたみ、不祝儀袋を包み込みます。最後に、④左側の角を折り、裏側に折り返して端を挟み込みます。この「右→下→上→左」という順番は、「左開き」となり、お悔やみの気持ちを表す包み方です(慶事の場合は「右開き」となり、順番が逆になります)。受付での渡し方もスマートに行いましょう。まず、受付係の方の前で、左手の手のひらの上に袱紗を乗せ、右手で袱紗を開きます。そして、不祝儀袋を取り出し、袱紗をさっと畳んだ後、その畳んだ袱紗の上に不祝儀袋を乗せます。最後に、相手から見て表書きが正面になるように向きを変え、「この度はご愁傷様でございます」とお悔やみの言葉を述べながら、両手で丁寧に手渡します。この一連の流れるような所作は、あなたの品格と、ご遺族への深い配慮を、雄弁に物語ってくれます。たかが布一枚、されど布一枚。袱紗の扱いにこそ、その人の真心が表れるのです。